アフリカというと、遠いため、何もイメージもつかないところが正直な所だと思います。
本日は、アフリカについて、これまでの私の経験を通して感じたことを、お話して参ります。
是非共新しい概念を持って戴けたらと願っております。
自己紹介 田渕陽 Yo Tabuchi
22歳までずっと剣道をやっていました。
大学卒業後、パイロットを目指しましたが、年齢制限で挫折、その時にいろんな本を読み漁り、心にストンと入ってきた言葉が「挫折は過程、最後に成功すれば挫折は過程に変わる。だから成功するまで諦めない。」という言葉でした。
その言葉に出会ったのは26歳の時、本田圭佑氏の言葉でした。
この言葉に感銘を受け、自分自身も、とにかく自分の知らない世界でチャレンジしたいと思い、ミラノにいた本田圭佑氏に思い切って「世界のために仕事がしたい」と手紙を出しました。
それでいきなり、ミラノで会わせて頂くことになり、飛んでいき、その場でアフリカ担当に任命され、アフリカビジネスの担当として、アフリカ10カ国を廻りました。
今から6年前の2016年のことになります。
その後、翌年の2017年、ウガンダ共和国のプロサッカークラブの買収して、SOLTILO UGANDA ltd.を設立、そこのたった一人の日本人として、現地の弁護士と連携して会社設立、財務管理を行うなど、ジェネラルマネージャーとして様々な事を経験、その後、3年間滞在し帰国、長友選手の投資先であるスタートアップ企業を経て、現在は、日本代表・伊東純也選手のマネジメントを行うD-Sportsに参画しています。
About AFRICA
アフリカ大陸には、54ヵ国が存在し、約13億人が暮らしています。
エリア的には、東西南北と中部の5つで構成され、言語面では、アラビア語圏、フランス語圏、英語圏に分けられます。
サハラ砂漠から北のモロッコやアルジェリア、チュニジア、エジプトがある北部アフリカは、イスラム教のアラビア語圏の国々で、エジプトなどは中東地域の一部とも定義されています。
皆さまがイメージするアフリカは、北アフリカ以外のサハラ砂漠から南の国々になります。
南アフリカがあることで、南の方が経済は少し発展していますが、アフリカの面白さは、地域それぞれに、色々な違いがある多様性です。
アフリカは、ヨーロッパの植民地としての長い歴史があります。
そのため、イギリスが植民地にしていた東アフリカは英語圏、フランスの植民地圏の西アフリカはフランス語圏です。
アフリカ54か国の国旗をみると、いくつかの国旗に類似性があり、緑、黄色、赤の3色を用いていることが分かります。
これは、エチオピアの国旗を模倣して作っているからです。
エチオピアだけが、54カ国の中で唯一つ、植民地になったことがありません。
そのため、エチオピアへの敬意を持ち、その色を真似して国旗を制定したそうです。
これをみても、アフリカ大陸がいかに植民地として苦しみ、独立して今があり、そしてこれからがあるということが分かるかと思います。
アフリカの変貌
私自身は東アフリカのウガンダに住んでいました。
その隣国がルワンダ共和国です。
多くの日本人は、アフリカというと、ルワンダ大虐殺をイメージされることが多いかと思います。
確かに、ルワンダは1994年に3ヶ月で100万人が殺されるという大虐殺が起こりましたが、現在はIT立国を目指して急速に経済成長しています。
つまり、世界はスピードが速いので、昔のイメージでアフリカをみてはいけません。
現在は、アフリカ全体が今後非常に高い経済成長を遂げていくだろうという見通しがあることから、世界各国がアフリカへの進出を競い合うような状況が生まれています。
世界がアフリカを注目している理由の一つに、人口の増加があります。
現在は約12億人ですが、30年後の2050年には約25億人、つまり、世界の1/4の人口がアフリカに集中すると言われています。
現在、世界の人口トップ3は中国、インド、アメリカですが、2050年にはナイジェリアがアメリカを抜いて世界3位、4億人を超える予想です。
中でも、特に注目されていることは、若年層が爆発的に増加していることです。
それこそが、この巨大なマーケットの最大の魅力です。
この若年層がどんな未来を創りだすか、そこに夢と希望があるため、最後のフロンティアとも言われています。
もうひとつの魅力が資源です。
アフリカは石油や天然ガスを始めとした天然資源の宝庫です。
鉱物資源も豊富で、エメラルドやダイヤモンドといった貴重な鉱物やレアメタルも豊富です。
このような著しい経済発展途上にあるため、アフリカでも富豪は増えています。
フォーブスの「2019年度アフリカ億万長者ランキング」で1位に輝いた、ナイジェリアの大富豪のアリコ・ダンゴテ氏は、アフリカでは知らない人がいない程の有名人です。
コングロマリット企業を経営しており、資産は1兆円を超えていると言われています。
また都市部では、IT化が進んでいます。
例えば、Uberも2016年位から導入されていて、私も滞在中は大分活用させて戴きました。
導入は、日本よりも遥かに早かった印象があります。
電子マネーも2016年の時点では、日常化していました。
日本だと、ペイペイが最近やっと活用され始めたという印象です。
このようなIT技術は、早めに導入されているため、日本より進んでいるのが今のアフリカの現状です。
JUMIAというアフリカ版のアマゾンのようなシステムもありますし、Ziplineのような、日本に逆輸入されているサービスもあります。
この会社は、ドローンで血液を病院に運ぶシステムを構築しており、このシステムをトヨタ通商が長崎の五島列島で試験的に導入し始めました。
スタートアップ企業の日本への逆輸入の先駆けです。
このように、これからは、日本からアフリカという流れでなく、日本より進んでいるITに関しては、アフリカから日本に入ってくることが現実に起こりつつあることが、Ziplineの動きをみると感じます。
アフリカ出身の世界的な有名人といえば、イーロン・マスク氏でしょう。
彼は、幼少期に南アフリカで過ごしおり、アパルトヘイトを眼のあたりにして、その後アメリカに渡り、現在に至っています。
故郷にこれからどのように関与してくか、注目です。
自国の通貨に信頼がない国が多いため、ビットコインを始めとする仮想通貨を導入している国も増えています。
ジンバブエでは、世界で1番ビットコインが高く取引されたこともあります。
中央アフリカは、世界で2カ国目のビットコインを法定通貨として導入することが決議されました。
また豊富な鉱物資源をトークン化することも、政府が発表しています。
この分野も、先進諸国のような決まりごとがない国が多いため、アフリカの動きは大いに注目です。
そして何よりも、土地が広いというのも、アフリカの大きな魅力です。
ザンビアには、東京ドーム1,700個は入る広さの農場があり、様々な家畜を育てています。
日本側の規制はあるかと思いますが、アフリカ産の食肉が輸入される日も近いでしょう。
勿論、リスクも沢山あります。
私自身が以前乗った事がある飛行機が墜落したり、よく作業をしていたカフェの近くでテロが起きるなど、危険と隣り合わせではありますが、今の時代、それはアフリカに限った話ではありません。
アフリカだからフォーカスされる部分が多いだけで、世界中どこに行っても安全な国はないように思っています。
中国の躍進
アフリカには多くの魅力と可能性があるため、世界各国が進出を急いでいますが、中でも圧倒的な存在感を発揮している国が中国です。
現地のスマートフォンのシェアをみても、サムスンが16%のシェアを保っているだけで、それ以外は全て中国製です。
中国参入の強さは、電車、道路、空港やエアラインなど、インフラに投資している事にあります。
国によっては、全て中国政府が行っているような状態で、アフリカの国々を渡り歩くと、如何に中国がアフリカの公共投資に大きな投資をしているかが分かります。
日本と比較しても、比較にすらなりません。
今の日本は、世界にとって圏外にいると思って戴いた方が良いかも知れません。
そのため、アフリカに住んでいると、どこ行っても中華料理屋があるため、食生活は大分助けられました。
現在、アフリカにいる中国人が10万人超、日本人はわずか7600人しかいません。
この7600人の中にJICAや国の職員も含まれているため、いかに少ないかが分かるでしょう。
そのため、日本人は中国人だと思われます。
それだけアフリカにおける日本の存在感はありません。
アフリカへの概念を変えよう
アフリカはすでに寄付先ではなく、投資先になっている、という概念を持って戴きたいと思います。
例えば、良かれと思って、不要になった衣類が寄付品として現地に届けられるのですが、その多くがゴミとなり、環境破壊にも繋がっています。
自分にとって不要なものは、どこに行ってもゴミになってしまうというのが正直なところです。
また、現地の衣類の販売ルートを潰す場合もあるなど、寄付は現地のビジネスも壊す側面も持っています。
アフリカはもう、寄付先ではなく、投資先であり、旅行先です。
例えばルワンダは、1994年に3ヶ月で100万人が虐殺された不幸な歴史のある国ですが、あれから20年、昔のイメージはないIT立国です。
日本の20年と、世界の20年はスピードが違うのです。
ルワンダは海がない内陸国であるため、直接的な海外貿易ができません。
そのため、ITに力を入れ、スタートアップ企業を育成したり、誘致するなどして、投資を呼び込んでいます。
法人税もアフリカ各国は30%のところが多いのですが、セクターごとに分けており、法人税を変えています。
また、世界的な企業が、アフリカの拠点を設立してくれたら、税率を優遇するという政策を打ち出していて、フォルクスワーゲンの工場誘致にも成功しています。
今後、このルワンダのやり方を真似る国も増えてくるでしょう。
教育面も、公立の小学校の授業にパソコンの授業があり、未来のIT技術者養成に積極的に取り組んでいます。
様々な分野において、ITを積極的に取り入れている国です。
私は今後、スポーツを中心に活動していくつもりですが、アフリカのビジネス支援も行っていきたいと思っています。
アフリカのある学校に行った際、その壁に地図が描かれていましたが、日本列島がありませんでした。
それほど母国は存在感がないのかと、衝撃を受けました。
子供達はこれを見ながら育っているのです。
そのため、日本がどこにあるのかと聞いても、日本のことが分からないと言われるのは、当然です。
アフリカに行くまでは、奢りかも知れませんが、日本は世界の中でも有名な国で、皆が知っている国だと思っていましたが、日本の存在が薄れていることを強く感じました。
私たち日本人がアフリカを遠い国で、関心のない国であることの裏返しなのかもしれません。
これでは、近い将来、日本の存在は世界的になくなってしまうと危機案を感じています。
日本は、少子高齢化、人口減少が問題になっていますが、アフリカは真逆で、若年層の人口増加で、近い将来、世界の4分の1の人口を抱える地域になります。
彼らの意識から日本を消失させてはいけないと、強く感じています。
自分に常に危機感を与える意味でも、この地図は私の心の中に常にあります。
AFRICA =BUSINESS × LEISURE
BU LEISURE
アフリカに投資といってもイメージがつかないと思うので、まずは旅行で行く事をお勧めします。
世界のトレンドとなりつつある言葉に、ビジネスとレジャーをかけたブレジャーという言葉があります。
アフリカこそ、ブレジャーから始めて貰いたいと思っています。
それほど、アフリカの魅力はビジネスだけでなく、レジャーにもあります。
日本からアフリカ便は、カタールかドバイを経由していくため、「ドアツー目的地の空港」まで24時間という遠い国ですが、経験された事のない旅を保証します。
例えば、ルワンダの魅力はゴリラトレッキングで、国を挙げて力を入れている観光です。
ザンビアは、ビクトリアフォールズという世界三大の滝のひとつが有名です。
ボツワナは、人口は230万人ほどで、ダイヤモンドで成り立っている国ですが、人間よりも象が多いとも言われており、国立公園近くには道端に象が普通にいます。
治安に関しては、3年間滞在したウガンダは、夜間歩いても、何も起きたことはありませんでした。
アフリカ12カ国行きましたが、危険な目に遭ったことは、一度もありませんでした。
移動の際に車を使う、危険なところには行かないという世界各国で共通の、最低限の事を守っていれば、大きな危険な目に遭うことは少ないでしょう。
アフリカのビジネスを始める方におすすめ情報
あまり知られていませんが、JICAが現地調査ニーズの確認に補助金を出す制度があります。
開発途上国の課題解決への意思を持つ企業からの提案を広く募集し、顧客ニーズ、及び顧客ニーズと製品/サービスとの適合性に関する初期仮説の検証、初期的な事業計画の策定を支援する制度で補助金です。
興味のある方は是非お調べ下さい。
調査からビジネス型に移行すると、大型の補助金が出る制度もあるなど、日本政府も、アフリカに進出する企業を支援する動きもあります。
このような制度を上手に活用して、是非アフリカに進出して戴けたらと願っております。
アフリカ旅行・ビジネス支援などのコンサルタントも行っておりますので、宜しければ是非お問合せ下さい。
今後とも、アフリカと日本を繋ぐ活動を積極的に行っていきたいと思っております。
田口陽
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