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暗号資産、NFT、メタバース、ブロックチェーンへの投資意義 (前半) 中島 宏明氏 2022年5月18日

今回のご講義は、中島 宏明氏をお迎えしての講演会でした。
ライターでもいらっしゃる中島氏のお話は、客観的視点からのご講義であり、ご自身の投資経験を踏まえているため具象性があり、具象性があり、とても分かりやすかったです。
ひと昔前までは、ビットコインというと、何か特殊な人たちの特殊な世界のように感じておりましたが、お話を拝聴し、全く違くPhaseに突入したことを実感しました。
人類がインターネットを手放さない限り、この流れは確実に加速されるのでしょう。
今回の講演で教えて戴いた、Web1、Web2、Web3と言う言葉。
まだ、Web3の段階なので、今ならまだその仕組みにキャッチアップできそうです。
実践して経験してみるのは、今の内かも知れません。

中島宏明氏

中島 宏明氏
経営者のゴーストライター
(書籍、オウンドメディア、メルマガ、プレスリリース、社内報、スピーチ原稿、YouTubeシナリオ、論文…)

2012年より、大手人材会社(R社、I社)のアウトソーシングプロジェクトに参加。
2014年に一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースで、投資や新時代の働き方をテーマに連載中。
連載一覧 https://news.mynavi.jp/author/12228/

About Web3

1990年代に、ウィンドウズ95が登場、それまで大手企業だけが用いていたコンピューターが、個人ユースのツール、パーソナルコンピューターとなった時点を【Web1】と捉えます。
この時点での情報発信は、企業や事業者が主体であり、ユーザーは閲覧のみ、その為、利益が得られたのは企業だけでした。

2000年代に入ると、SNSが登場、一般ユーザーや小規模事業主も情報発信が行えるようになり、企業側はプラットフォームを管理して稼ぐというビジネスモデルが始まりました。
この時代を、【Web2】と捉えています。
この流れがGAFAに発展、彼らが構築したプラットフォームは、今や国家よりも大きい権力や影響力を有するようになりました。

【Web3】は、去年の秋位から使われている言葉です。
その始まりをビットコインと定義するなら、2009年からになりますが、実際にWeb3という言葉自体が使われだしたのは、2020年になります。
Web3とは、どのような時代かというと、ユーザーとプラットフォーマーである企業の垣根がなくなり、ユーザー自身がコンテンツを作成し、管理もする、利益も得ると言う、全く新しいフェースの時代です。
今後どのように発展していくかはまだ分かりませんが、Web1や2とは違う、フラットでフェアーな時代の始まりという期待感が市場にはあります。

Web3では何が出来るのか。

Web2の問題点は、GAFAがビックデータを独占したことで、個人情報がプラットフォームに集約され、彼らが巨大な力を有したことにありました。
その問題に疑問を呈し、その流れを変えたいという中で登場したのがWeb3です。

Web3では具体的に何ができるのかというと、あらゆるものがトークン化される、トークンエコノミーというものが特徴になります。
例えば、コンテンツ毎に独自トークンが発行されるなど、インターネット上にある様々なものがトークン化され、その管理は各コミュニティに委ねられ、トークン上場と株式上場が共存するようになります。

今までは、そのゲームが好きであれば、ゲームを購入しプレイをする、もっと好きであれば、ゲーム会社の株式を購入して応援するという方法だけでしたが、トークンファイナンスという概念が始まったことにより、そのゲーム自体をトークン化し、ゲーム株として購入して応援することが可能になりました。

つまり、ゲーム会社、またはコンテンツ会社は、ゲームまたはコンテンツを産み続ける組織として、これまで通り株主によって管理(ガバナンス)されていますが、同時に、個別のゲームやコンテンツに投資が行える、トークンファイナンスの登場により、各コンテンツ毎を上場を行うことが出来るようになったのです。

日本ではトークンで資金調達することが金融法に触れるためできませんが、Webトークン資本家は既に登場しており、彼らはシンガポールなどに住居を移して活動しています。

このWeb3時代は、色々な決済手段が増えてくるだろうと言われています。
その一つが、国境なく使える世界共通の資産である、暗号資産です。
日本では、仮想通貨という名称で知られていますが、最近は「クリプト」と呼ばれることが増えてきました。

ビットコイン企業と言うと、何か怪しいイメージを持たれてしまうので、ブロックチェーン企業と名称を変えていましたが、実はこの言葉自体も今は古くなり、最近はWeb3という言葉が登場したことで、ウェブスリー(Web3)企業という名称に、ビットコインはクリプトという名称へと、業界全体がイメチェンしている段階です。

Web3という言葉には、仮想通貨、暗号資産、クリプト、ブロックチェーン、NFT、メタバースなど全てが包括されています。
敢えて日本語に訳すと、分散型インターネットになるでしょう。

Web3は、いつ、どのように始まったか

サトシ・ナカモトという人物が2008年10月31日に『Bitcoin : A Peer-to-Peer Electronic Cash System』という論文をネット上に公開したことが、Web3のスタートだと言われています。
ちなみに、サトシ・ナカモト氏は正体不明な人物で、ときどき「自分が本人です」とネット上に現れて話題になっていますが、恐らくニセモノだと言われています。

この論文は、9ページしかないレポートのようなもので、暗号技術者が見る掲示板のようなところで発表されました。
お金のインターネット化の仕組みについて、概念と共に技術的なことが書かれていました。

ご存知の通り、文書や写真、動画はインターネットで簡単に送れます。
しかし、お金だけは送ることが非常に難しく、海外送金という面倒臭い手順を踏まないと送金できません。

この論文は、2004年に発表された「価値のインターネット化」というライアン・フガーの論文とも共通しており、お金という価値の象徴を、もっと広い概念のものとして、インターネット化していくことの必要性が書かれていました。

それにより、サトシ・ナカモトの論文発表の翌年の2009年1月に、ビットコインが誕生しました。

それ以降10年以上、止まることなく、ビットコインは動き続けています。
色々な問題は指摘されていますが、止まらず動き続けているという事実は、凄いことなのです。

ビットコインは、発行枚数が2100万と決まっているため、人気が出れば出るほど価値は上昇していきます。
大体4年に1回半減期がきていますが、半減期の度に、その後の価値は上昇しています。

現在は、コロナショックもあり、ビットコインはデジタルゴールドのような地位を確立しつつあり、そのため価値が上昇し続けています。
しかし、発行当初から購入している先駆者のような人たちは、「デジタルゴールド」より、「インターネット上のネイティブカレンシー」という、もっと先を見据えた捉え方をしています。

インターネット上のネイティブカレンシー

DX推進により、社会は「リアルファースト」から「バーチャルファースト」に移行しています。
最終的な意思決定はリアルでも、それに至る作業の仕事場は、オンラインやメタバースに移行される流れは止められないでしょう。
そうなると、その空間で用いられる「国境のない通貨」が必要になり、そこで用いられるものが、インターネット上のネイティブカレンシーです。

そのため、ビットコインだけには当然ならないわけで、決済手段が多様化していくことは必須でしょう。
例えば、将来的には、気にならない程度の少額の金額はAIがするようになるのではないかと言われています。
キャッシュレスといいますが、支払いという感覚そのものをレスしていくという感覚です。
ビットコインであれば、1円未満の決済も可能なので、法定通貨より利便性が高いため、そのような時代になれば、ビットコインの価値は益々上昇していくでしょう。

それでは、ビットコインを改良し続けてくれれば、価値は上昇し続けてよいのではないか…と考えますが、エンジニアの世界は、常に新しいものを開発していくことにしのぎを削り、技術革新をしているため、暗号資産の技術も日進月歩であり、今後も様々な通貨が登場し、淘汰の時代になるだろうと言われています。

ブロックチェーンの活用にもトレンドがあります。
2020年のトレンドはDeFi(分散型金融)、
2021年のトレンドがNFT(芸術などで利用)、
今年は、DAO(分散型組織)など、金融・非金融の領域でのブロックチェーン活用、分散型の概念の浸透が加速しています。

ゲーム×ファイナンスや、Move to EarnやSleep to Earnのように、「動いて稼ぐ」、「寝て稼ぐ」というような商品まで登場するなど、今までは金融領域での活用がメインでしたが、最近では金融商品以外での活用が増えてきています。

クリプトの現状と今後

現在、どのような人が購入しているかというと、若年層が中心(20~30代)で、他の株式や不動産など、投資未経験者が多く、彼らは自己資産の8割程度を投資しているようです。
日本は遅れていますが、海外ではETF、先物などの金融商品化も進んでいて、やがて金融商品化するだろうとも言われています。

ビットコインは、2010年に取引所ができた当初は、8セントから始まり、数十万倍になりました。
なぜそんなに上昇したかといいますと、当時はビットコインしかなかったからです。
現在では1万種類、まだ未開発のものを入れたら何万種類あるかわからないため、今後そのレベルの上昇はないと思います。

どこで使用できるかというと、コインマップというサイトがあり、アメリカやヨーロッパでは使えるところが増えています。
アメリカではスターバックスや、レストラン、エクスペディア、Amazonでも使えます。
日本でも、ビックカメラや、ガリバーなどで使えるようになり、また、Visaのプリペイドや、アマゾンギフト券、ナナコギフト、エディギフトなどの購入やチャージがビットコインで可能になりました。
そう考えると、全世界で使えるようになっています。

それでは、どこで買えばよいかというと、取引所で購入するのが一番メジャーな購入方法です。
ビットバンク、ビットフライヤー、 DMMビットコイン、GMOコイン、SBIなどが日本の大手の取引所です。
アメリカでは、ATMでも購入できるようですが、日本ではまだ六本木や広尾にある位です。

取引所とは、マッチングサイトみたいなものです。
証券取引所と同等のように見られがちですが、まだそんなに社会的信用は高くありません。
日本は金融庁の管轄なので、比較的安全ですが、海外では国によってはライセンスがないところもあるため、海外の取引所にネット送金して購入することは、危険が伴うと思って下さい。

取引所をどのようにして選ぶかというと、扱っている銘柄、取引量、セキュリティを基準にします。
但し日本では銘柄は少なく、取扱いには金融庁の審査があるため、海外では既に話題になったものが、時間を経てようやく日本で購入できるようになるというケースも多いようです。

セキュリティーは、ハッキングされたら終わりです。
預金法みたいな保証制度はありませんが、日本の場合は、大手の取引所であれば、過去の事例をみると、ハッキングされても保証されているケースが多いので、安心といえば安心なようです。

ビットコインの推移

2009~2010年は、オタクのゲーム通貨的存在として、特殊な人しか持っていませんでしたが、2011~2012年頃から、徐々に投機家に注目され、タイム誌とかに取り上げられるなど、メディアでも話題になりました。
この頃のホルダーたちが、決済システムや取引所を開設したり、マッチングサイトを作ったり、メディアを立ち上げたりと、自由に事業開発した時代になります。

それが一躍有名になったのが、2013年のキプロスショックです。
銀行封鎖で現金が引き出せなくなった時、ビットコインであれば自由に出金できたので、ビットコインが注目され、バブルが起き、一気に上がって一気に下がるジェットコースターのような状況になりました。
恐らくその時、日本でも広かったのだと思います。

2015年にニューヨークで、初めてのビットコインのライセンス法ができました。これが世界で始めてのビットコインに関する法律で、日本の法律もこれを参考に作られています。
ビットコインを扱う銀行も、ネオバンク、チャレンジャーバンクなど登場し、クリプトを担保にローンを組むこともできます。

ビットコインの史上最高値は、2021年10月20日につけた、1BTC=759万円が史上最高値です。
なぜそんなに上がったかというと、コロナの影響により、デジタルゴールドとしての地位が確立したこと、インフレヘッジ(有事のビットコイン買い)、また、ペイパルやスクエアなどの決済サービスで使われるようになったことから、使用するリアリティが増したこと、そして、世界初のクリプトとして知名度が高いことがあげられ、今でもクリプト界の基軸通貨であることに間違いはありません。

投資信託のプロシェアーズ社(設立2006年)が取り扱う事のなったことと、何よりも大きな決め手となったのは、米証券取引委員会(SEC)がビットコイン先物に連動した上場投資信託(ETF)を承認したことにあります。ビットコインそのものがリスキーと思う投資家にとり、SECの承認は大きく、これにより、社会に認められる通貨へと昇格しました。

ビットコイン以外にどのようなクリプトがあるかというと、様々なものがありますが、揺るがないトップ10に入っているのがビットコイン、イーサリアムであり、他は入れ替わりがかなり激しいようです。

クリプトを禁止している国は中国とアイスランドです。
中国は2021年に全面禁止で話題になりましたが、中国政府はずっと持ち続けているという話なので、中国もどこかで解禁するのではないかと言われています。そうすると上昇するでしょう。

どこまで価値が上がるかは、誰にも分かりませんが、将来的には国を越えた送金手段、決済手段となり、利殖に使われるなど、限りなく現在私たちが用いている法定通貨に近い金融資産となり、機能として行くでしょう。

そうした未来を見据えて、正しい情報を収集しそれを理解できる素地を作ることこそ、今必要な事ではないかと思います。
また、最近では、地方の数代続く企業でも、資産の10%をビットコインにするなど、一般投資家も注目していますが、個人的には、まだどうなるか分からない要素もあるので、資産の10%位の「なくなってもしょうがない」と思える余剰資金で行うことを推奨します。

次回、6月の講義では、NFTを中心にこの考え方を更に発展させるとどのような時代が到来するかをテーマにお話しして参ります。

(文責 編集:山脇史端)

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