セミナー・イベント情報

暗号資産、NFT、メタバース、ブロックチェーンへの投資意義 (後半)  中島 宏明氏 2022年6月15日

今月の勉強会は、先月に引き続き中島宏明氏にご登壇戴き、ご講義戴きました。
中島宏明氏の情報は、コチラのサイトから閲覧戴けます。

NFTについて、分かっているようで分かっていないような状態でしたが、今回の講義を受けさせて戴き、かなりイメージが掴めました。
これも、気軽に質問できる、リアルならではの少人数のランチョンセミナーの魅力です。
どんな質問に関しても、的確に即答下さる中島さんの知見の素晴らしさに感謝しております。

スマホを手放せる人などいないでしょう。
そのため、未来のイノベーションに、IT技術は欠かせず、その技術そのものが、大きな変革を遂げるフェーズに差し掛かっているようです。
これからは「円を稼ぐ」より「仮想通貨を獲得する」という視点から、ビジネスを構築する時代なのかも知れません。
大規模災害への備えという意味からも、今の内に仮想空間に一部でも、移動させた方が安全なようにも感じました。
今は、web3.0 黎明期。
時代が大きく動いていない今だからこそ、落ち着いて情報をつかみ、準備をする事が大切です。
また、今ならまだ、アホみたいな質問が出来るのもありがたい。

前半の講義内容を読んでいない方は、コチラから参照してください。
多くの人に「今」を知って戴き、
web2.0には乗り遅れた日本勢が、web3.0では活躍戴けることを祈っております。

NFTの無限の未来 by 中島宏明

NFTとは、去年の流行語大賞の候補にもノミネートされた言葉でもあり、ノン・ファンジブル・トークン(非代替性トークン)と言われるものです。
非代替性とは、代替性非ず。代替出来ない、
つまり、「世界に一つだけのトークン」という意味になります。

トークンとは、「他の価値と交換できるもの」を意味します。

商品券もトークンですし、Amazonポイントや、ビックカメラのポイント、楽天ポイント、その他、スーパーや、近所のケーキ屋さんのポイントカードなどもトークンに入ります。
このように、私たちは既にたくさんのトークンに囲まれて生活をしているのです。

NFTとこれらのトークンとの違いは、ブロックチェーン技術を活用しているかいないかにあります。

ブロックチェーン技術のトークンこそ、NFTです。
NFT自体は、2017年頃にゲームの世界で開発された技術です。
CryptoKittiesという、仮想の猫を購入、販売、収集、繁殖していくゲームや、Crypto Ninjaという対戦型オンラインゲームなどが有名ですが、ゲームでプレーした履歴をブロックチェーンで記録することから始まり、ゲームのアイテムやキャラクターを対戦させたり、「たまごっち」のように養育することで、「世界に一つしかない、独自のアイテムやキャラクター」を作りあげることが出来、それを、相互に売買(交換)するために用いられたのが、ブロックチェーンを活用したトークンの始まりです。

ゲームの世界で活用されていた、ブロックチェーンを活用したトークン「NFT」を、ゲームの外でも活用しようとしたことが、NFTの大きな転換期かと思います。

ゲームからの発展なので、アート世界との親和性が強く、デジタルアートや、デジタルアンティークの世界でNFTの導入が始まりました。

デジタルで絵画を描いても、自由にコピペ出来てしまうため、デジタルアートはその価値が認証されづらかったところがあります。
しかし、NFTを使うことで、その価値が証明できるようになったので、新しい商圏を生み出しました。

ブロックチェーンとは何か

ブロックチェーンは、分散型台帳(公開台帳)と呼ばれる技術です。
この技術により、オンライン上で価値あるものの取引ができるようになりました。

元々は、ビットコインに活用された技術ですが、ビットコイン以外でも、オンライン上で価値あるものの取引にも応用できるのではないかということで、展開されたのがNFTです。

ビットコイン以前も、デジタルマネーのようなものはありましたが、二重取引やコピーや改ざんなど、問題が多くあり、信頼できないものでした。
ブロックチェーンの特徴は、トラストレスといって、信用保証が不要であり、改ざんが困難であること、二重取引が出来なくなったことにあります。
また、サーバーが分散されているため、世界で一つでもサーバが生きていけば復活できるという、障害に強い特徴もあります。
そのため、登場当初は、ビットコインでしか使われていなかったこの技術が、今では土地の登記、証券、個人認証(ID管理)、デジタルコンテンツ管理など、さまざまな領域へと活用の場が拡がってきています。

NFTの特徴

このブロックチェーンを用いたトークンこそ、NFTです。
そのため、唯一性への信頼を保証できること、また、世界で一つだけといっても、ナンバリングが出来るため、「世界で一つだけ」を複数作ることができるので、デジタルコンテンツとして流通させることができるなど、様々な可能性があります。

そのトークンの所有者を追跡できることも、大きな特徴です。例えば、デジタルアートですが、転売されても所有者を追跡できるため、逆に自分の購入履歴をブランディングに活用することもできます。

よく誤解される事ですが、デジタルアートそのものをトークン化しているのではありません。
トークンによって所有者が特定できることが特徴で、その価値は、トークンによって所有者と発行者を結びつけているという事にあります。
自分がそのアートを所有しているのではなく、そのアートの支持者であることを、伝えることが出来ること自体に価値があるのです。
デジタルアート自体の保管は、別のソリューションサービスが必要になってくる分野であり、まだこの辺りは確立されていません。

つまり、NFTで何が出来るのかというと、それを所有した経歴そのものにあります。
誰が誰に販売して、誰の手に渡っているという記録が公開されると同時に、二次流通以降も、アーティストに収入が入り続ける仕組みなので、アーティストの権利を保護することが出来るのです。

絵画であれば、美術館が所蔵作品を貸し出して、別の美術館等で企画展を行う場合、レンタルフィを、アーティストと現在の所有者が分配するという仕組みも出来るでしょう。

出版社であれば、初版本をNFT化し、数量限定で発行すれば、二次流通以降も、著者や出版社にお金が入るようになったり、マンガや絵本の原画をNFT化し、NFTを貸し出してオンライン原画展を開催するような、収益モデルが可能になります。
最近では、メタバース展示会なども開催されており、世界中から集客できるメリットもあります。

黎明期の今の段階では、NFTと親和性が高いのは、アーティストやライター(著者)などのクリエーターたちです。
数量を限定し、NFT保有者(例えば、ファンクラブ会員)だけにコンテンツを配信したり、NFTを長期保有するとインセンティブが貰える仕組みをつくったり、期間限定で消滅するNFTを発行してより限定感を出す事も可能です。

今後、様々な新しいビジネスモデルが創出されていくのではないでしょうか。

NFTはもはやマイナーなものではない

日本ではまだ一部の世界の人達のものに過ぎませんが、海外では珍しいものではなく、メジャーになっています。
ブロックチェーン技術が誕生し、ビットコインが広がるまで5年以上かかりましたが、NFTは登場してから数年足らずで浸透しています。
ビットコインが可視化されづらかったものであるのに対し、NFTはアートやコレクションなど、ビジュアル化されやすいもので登場したため、カルチャーとして受け入れやすかったのかもしれません。

そのため、アートやコレクションアイテムの世界では、メインストリームになっているように感じています。
既に、世界の有名企業が続々と参入しており、特に高級アパレルブランドの参入が顕著です。

例えば、ドルチェ&ガッバーナが初のNFTコレクション「Collezione Genesi」を開催しましたが、そこでの落札総額は約565万ドル(約6億4000万円)とされています。

ファッションNFTでは、スニーカー投資が有名です。
購入したNFTをスマホに送ると同時に、リアルのスニーカーも宅配で届くサービスを行うなど、リアルと絡めて始めたので、分かりやすかったのかもしれません。

日本でも、楽天やメルカリがNFTのプラットフォームを開発していますし、GAFAを始めとしたweb2.0企業も参入していますが、どちらかというと顧客の囲い込み目的が多いようです。
NFTが注目されているため、株価対策として、プラットフォーム開発を急いだという面も強いようにも感じています。

日本でもやがて、メルカリに出品するように、NFTを出品するというようなマーケットが出来上がってくるでしょう。

NFTはインターネット登場以来の革命か

Web3.0起業家は、NFTをインターネット以来の革命といっています。
2021年8月、世界最大のNFTマーケット「Open Sea」は、月間流通総額は33億ドルに及びました。
ツイッター創業者ジャック・ドーシーの初ツイートが約3億円で取引されたことで、日本でも大きな話題になり言葉自体は一躍有名になりました。

しかし、その後、転売にかけられましたが、30万円でもまだ値がついていないといわれています。
そういう意味では、NFTの熱狂的バブルは既に弾けた印象がありますが、ウルトラ級の超高額取引の暴落というような、ネガティブな話は広まりやすいので、そのようなイメージを持つかもしれませんが、5万~10万のものが、倍の価格で売れている現状をみると、全体的には堅調に稼働しているように思います。
アイデア次第で無限な可能性があるため、しっかりと情報を追っていくことこそ、大切な事ではないでしょうか。

NFTの無限な可能性

NFTには、どのような可能性かあるのか、みていきましょう。
例えば、イベントチケットをNFT化したとします。
その物自体価値としては、イベント記念品として、ビートルズのライブの半券のように価値を持つ場合もありますが、それがいつの日かは分かりません。

しかし、NFT購入者がイベント会場内で軽食やドリンクを受け取ることができるなど、リアルなサービスと結び付ける事も可能です。また、スマートコントラクトを使えば、イベントの収入を自動的に分配できるシステムの構築が可能になります。仲介者は不要で、手数料は安く販売することが出来るでしょう。

更に、プレミアムNFTを発行し、バックステージ入場券や限定グッズ購入権にしたり、NFTの早期購入者に、収益の一部を受け取ることができるなどのサービスを付加することも可能です。
勿論、そのイベントをメタ空間で提供し、価値を上げていく事も出来ます。
また自分が購入者として記録されること自体も魅力かもしれません。
このように、イベントとの相性はよいでしょう。

その他、コミュニティを既に持っている人も活用範囲は広いです。
ファンクラブ限定イベントも、リアルな会場と並行して、メタバース上でも行えるため、世界中の人達と繋がることができます。

投資として注目されているのが、NFT不動産です。
メタバース不動産、バーチャル不動産など呼び名はたくさんありますが、メタバース上に不動産を創り出すデジタル技術を活用したビジネスモデルです。
プラットフォームとしては、ディセントラランド、サンドボックス、クリプトボクセルズが有名です。
それぞれのプラットフォームでバーチャルな土地が高額取引されています。
去年からその土地に、仮想のビルが建築され、その部屋貸しを行いレンタルフィーを所有者に分配するなどのビジネスも登場しています。

デジタルアイデンティの分野も注目されています。
ブロックチェーン技術を介しているため、信用保証作業が要らないのもNFTの特徴です。
SNSアカウントをNFTと結び付けて管理することで、アカウントの所有を証明することが出来ます。
大学の卒業証書のNFT化、住民票のNFT化などにもいずれ活用されていくでしょう。

海外から留学生を受け入れる際、現在では本当に卒業しているかどうか、裏が取れないのが実情ですが、学歴、学習歴、職歴などブロックチェーンで記録されれば確実な信用保証になります。

インフルエンサーの経済的影響力をNFT化する、インフルエンサーNFTという仕組みも出てきています。

音楽NFTというのもあり、短い動画をNFT化して売買したり、音楽の原盤をNFT化し、分割保有できるように数量限定のNFT(ナンバリング)を行い、ストリーミングの配当として収入を受け取ることができる仕組みです。

海外ではNFT担保融資も行われ、NFTを担保にして家を購入するケースが、アメリカやカナダでは既に出ています。

当たり前ですが、NFTにすれば、何でも担保になるのではなく、このケースの場合、有名な画家の絵画のNFTが対象でした。
リアルな絵画自体の価値ではなく、銀行がNFTとしての価値も認めたという事自体、画期的な事かもしれません。

メタバース

無限に世界が作れるのがメタバースです。有名なものに、サンドボックスがあります。
「サンドボックス」とは2020年に発売開始された仮想ゲームシステムで、メタバースの空間の中で自分だけが所有・管理できるNFTアセットを構築するなど、自由に世界を形作ることができるサービスです。
日本では、動物の森が有名です。

メタバース自体は、4G時代からあった技術ですが、通信速度の問題でストレスを感じる状態でした。
5Gになってから動きがスムーズになり、長時間滞在できるようになったことで利用者が増えています。

今はパソコンに向かって1日8時間仕事をしている人たちが、6Gになると、パソコンではなくてメタバース上で8時間労働するような時代になるだろうと言われています。

ほぼ無限に広がる仮想世界なので、基本的にはずっとログイン状態です。
概念的には人数無制限ですが、5Gではまだ同時アクセス100名位が通常の限界なようです。
100名と言っても、日本ではまだ100名がアクセスしたことがないというのが現状です。

分散型インターネットなので、自律分散が前提であり、特定の管理者が不在で経済圏ができるのが特徴です。
そのため、メタバースプラットフォームという概念自体矛盾であり、Web2.0とは違い、ユーザーが自由に各プラットフォームを行き来できる事が特徴になります。

恐らく、スマホを開くのと同じぐらいのレベルで、メタバース空間に入っていくようになるでしょう。
ゴーグルをつけて手を動かすため、不動産会社もメタバース専用ワンルームのような商品を出してくるかもしれません。

Web3.0が創りだす未来

最後に、今年に入ってから登場した、ゲームと、ファイナンスを掛け合わせたGamiFi(ゲーム×金融)という概念を紹介します。
これは、「ゲームを楽しみながらお金を稼ぐ」という新しい働き方(稼ぎ方)です。
これまでは、ゲームで稼ごうとすると、プロのゲーマーになる、e-Sportで賞金を得る、ゲーム会社に勤務する、ゲーム開発をするしか方法はありませんでした。
しかし、ゲームをプレイすることで、ゲーム内のトークンを稼ぎ、そのトークンを現金化して、日々生活を、物価の安いベトナムやフィリピンで暮らす人たちが増えてきているそうです。
ゲーム生活者の登場です。

戦闘ゲームだけでなく、「たまごっち」のような養育系のものもあり、また、「遊んで稼ぐ」=P2E(Play to Earn)、歩いて稼ぐ、寝て稼ぐなど、従来の感覚では、こんなので、稼げるんだという方法で稼いでいるようです。

今までSF小説や、映画の中だけと思っていた新しいライフスタイルが、既に始まっています。

日本はコンテンツが豊富なため、それを踏まえたビジネスモデルを構築することが可能です。
そのための正しい知識や情報を獲得することこそ、今必要なことではないでしょうか。

(2022年6月15日開催、中島宏明氏のセミナーより要約)
(文責 山脇史端)

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